場所:大阪体育大学
   日時:6月27日(金)15:00~16:00
   自己紹介
   「ISC・21」・・・21世紀スポーツ文化研究所
   Institute of Sport Culture in 21st Ceuntury
   HPアドレス:http://www.isc21.jp (構築途中)
   -mail : inagaki@isc21.jp
   キー・ワード:スポーツ情報,図書館,博物館,美術館,スポーツ情報センター,
   スポーツ情報学,情報学,ネット情報,など。

講演「スポーツ情報学と図書館」


「ISC・21」主幹研究員・稲垣正浩

  

 




■問題提起
・図書館(体育・スポーツ系大学付属)はこんにちのスポーツ情報にどこまで対応できているのか。また,ますます拡大・再生産されていくスポーツ情報に,これからの図書館はどのように対応していくのか。
・スポーツ情報(あるいは,スポーツ情報学)とはなにか。スポーツ情報(学)に対する国際的対応の現状と問題点はなにか。
・スポーツ博物館と図書館の役割と位置づけについて。

■スポーツ情報とは?
・スポーツ情報というときの「スポーツ」の概念のひろがりは?
・歴史的な概念の変遷:近代初期(18世紀中頃のフィールディングの小説『トム・ジョウンズ』によれば)狩猟,乗馬,猟犬,フィッシング,きつね狩りがスポーツの中心概念,やがて,近代スポーツが19世紀中頃から急増する,勝利至上主義の増殖,過剰な競争原理(近代オリンピック・ムーブメント,ワールドカップ,など),そして,21世紀型スポーツ文化の登場(ヴァーチャル・スポーツ,ヴィジョナリー・スポーツ,など)。
・スポーツ概念の周縁的なひろがり:盤上遊戯(チェス,将棋,囲碁,カード,など),ゲーム・ソフト,ダンス(舞踊),体操(ラジオ体操,リズム体操,ヨーガ体操,など),武術(太極拳,古武術,など),ボディ・ペインティング(サッカーのサポーター),入浴(ローマのカラカラ浴場),サウナ,化粧,セックス(フロイトの言うテニス),など。
・領域による分類:行う,見る,語る,書く,描く,彫刻する,調べる,計算する,記録する,食べる,匂いを嗅ぐ,聞く,演奏する,触れる,などのスポーツ(文化)。
・資・史料としてのスポーツ情報:文字媒体(古文書,単行本,雑誌,新聞,リーフレット,ちらし,日記,手紙,家計簿,研究成果の論文・報告書・紀要,など),考古遺物(地下埋蔵物,遺構,など),映像資料(写真,映画,テレビ,ビデオ,DVD,など),美術資料(絵画,彫刻,ポスター,など),音楽,音声(語り部,インフォーマント),スポーツ用具・器具・服装,メダル・ワッペン・切手・マスコット,口頭伝承(無文字社会),など。
・などなど,スポーツ情報には際限がない。その線引きをめぐる問題。

■スポーツ情報学とは?
・種々雑多なスポーツ情報を分類・整理し,体系化することをめざす学問として,とりあえず,スポーツ情報学を構想している。
・親科学は「スポーツ学」(Sportlogy,Sportlogie)・・・体育学やスポーツ科学に代わる21世紀型の総合学として。
・スポーツ学を支える三大領域:スポーツ文化学,スポーツ実践学,スポーツ科学(拙著『身体論──スポーツ学的アプローチ』,叢文社,2003年)。
・これら三つの領域の諸成果を,情報化し、分類・整理し,体系化するための学が「スポーツ情報学」(とりあえずの仮説として)。
・すなわち,スポーツに関するあらゆる情報をデータベース化し,新しいコンセプトのもとにスポーツ情報に関する「知」の体系を構築していくための学問
・スポーツ文化学は,これまでのスポーツ文化・社会科学系の「人文的知」を体系化する学問領域の総称。
・スポーツ実践学は,スポーツの現場から経験と智恵によって練り上げられた「経験的知」を体系化する学問領域の総称。
・スポーツ科学は,仮説・実験によって実証された「科学的知」を体系化する学問領域の総称。ここでいう「スポーツ科学」は狭義の概念。

■スポーツ情報研究の現状
〔日本国内〕
国立スポーツ科学センターのなかに「スポーツ情報」の部局があるが,すべて「スポーツ科学」に関する情報だけを扱っている。
日体大に「スポーツ情報学研究所」を設立する構想(2001年)があったが,立ち消えになった。
早稲田大学と外部団体との第三セクターで「スポーツ情報センター」を開設(2003年?)
各地方自治体のスポーツ・センターのなかに「スポーツ情報」の部門ができつつある。
そのほとんどは,スポーツ・イベント情報が中心。図書館もあるが,蔵書はほんのわずか
しかない。それもハウ・ツーものばかり。
〔外国の例〕
 ・各競技団体別に「情報センター」をもっているのが一般的。
 ・ドイツ国立スポーツ情報センター(2001年に調査)
中国は国家機関のなかに「スポーツ情報センター」をもっている。諸外国の競技力に関する情報を集め,それらを分析し,勝つための対策を立てることが目的。毛沢東が権力を 握ってまもなく始まったという。こんにちでは大きな施設となり,膨大な文献,映像資料 を保存している,とのこと。
 ・韓国の国立スポーツ科学センターのなかに「スポーツ情報」を蒐集する部局がある。これも競技力向上が目的。ここには図書館はない。

■スポーツ博物館と図書館の関係(ヨーロッパの場合)
・スポーツ博物館が上位概念としてある。
・スポーツ図書館は博物館に付属する施設と考えられている。
・スイス・バーゼル・スポーツ博物館には,
 ・展示室,展示物の収納庫,修復室,図書室,などがある。
 ・館長さんをはじめ,司書の人たちに博士の学位をもった人がいる。
 ・とくに,スポーツ史の研究者が多い。だから,スポーツ史で学位論文を書こうという学 生さんたちが,ここの図書室には通いつめている。外国からの留学生も,長期にわたって 滞在し,論文をまとめている。
・オーストリア・スキー博物館(ズダルスキーの誕生の地)
・ドイツ・ケルンのスポーツ博物館(ドイツ・スポーツ大学ケルンのスポーツ史研究者と共同研究。多くのイベントを大学と共同で展開)
・スイス・ツェルマットの山岳博物館(マッターホルンの直ぐ下の町)
〔日本国内〕
 ・ウィンター・スポーツ博物館(札幌)/スキー博物館(野沢温泉スキー場)/野球体育博物館(後楽園)/秩父宮記念スポーツ博物館(国立競技場)/ゴルフ博物館(神戸市・六甲山)/自転車博物館(東京・日本自転車振興会)/相撲博物館(国技館),等

■スポーツ美術館
 ・イギリスには一冊のカタログ(単行本で市販)になるほど各地に点在している。
 ・絵画・彫刻,ポスター,など。
 ・日本には,池田記念スポーツ美術館(新潟県)があるのみ?
 ・いろいろな美術館のなかに「スポーツ美術」も相当数収蔵されている。

■スポーツ情報のデータベース化
・文学作品(単行本化されたもの,小説,詩,評論,エッセイ,自伝・伝記,など)
・新聞,雑誌などに掲載されたエッセイ,随筆,など。
・図像資料(たとえば,美術館・博物館の発行する図録)。
・博物館,美術館,などに収蔵されているコレクション

■ウィーンの図書館のシステム
・専門職としての司書の制度が確立。

■インターネット時代の図書館(省略)